反対咬合の概要
反対咬合(はんたいこうごう)とは、「受け口」とも呼ばれる不正咬合の一種で、下の前歯が上の前歯より前(外)にある状態を指します。見た目の印象に大きく影響するだけでなく、咬み合わせや発音、顎の関節に悪影響を及ぼすこともあり、早期の治療が推奨される症例です。
上の前歯が下の前歯より2㎜程度前方にあり、下の歯を覆うように咬み合うのが通常です。反対咬合の場合、下の前歯または下顎全体が前方に出てしまい、逆の咬み合わせになります。反対咬合の場合、しゃくれた横顔に見えることもありコンプレックスにつながりやすいと考えられます。

反対咬合の原因
叢生の主な原因には、
以下のようなものがあります。
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遺伝反対咬合は遺伝の確率が高いとされており、両親や兄弟姉妹に反対咬合の患者様がいる場合、発言頻度が高いと考えられます。遺伝が原因の反対咬合は、上顎が小さい下顎が大きいまたはその両方の特徴を持つことがあり、骨格の大きさの差が反対咬合の原因となります。
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機能的な要因上の前歯が内側に倒れている、下の前歯が外側に倒れているなどの機能的な問題がある場合、下顎を前に出さないと咬めないことなどが反対咬合の原因となります。
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舌や唇の癖・指しゃぶり食べ物や唾を飲み込むときに舌で下の前歯を押してしまう、上唇を巻き込んで噛む、指しゃぶりで下の前歯を外に押してしまうなどの癖がある場合、歯の位置に影響を与え反対咬合の原因となります。
反対咬合が引き起こす問題
反対咬合を放置すると、以下のような問題が生じることがあります。
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発音に問題が出ることがある前歯が逆になるため息が漏れやすく、サ行やタ行が言いにくくなることがあります。
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咀嚼効率が低下する下顎を前に出さないと奥歯が当たらないため、前歯で噛み切れなかったり、奥歯で上手くすりつぶせないことがあります。
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顎関節への負担下顎を前にださないと咬めないため、顎の筋肉に負担がかかったり、顎が痛くなることがあります。
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顎の骨の成長に影響を与える成長期の場合、上顎の成長を妨げたり下顎の成長を助長することがあります。
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歯肉が下がる、歯がグラグラすることがある前歯が上下で強く当たると外傷をおこして、歯肉がさがったり、歯がグラグラになってしまうことがあります。
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見た目の問題オトガイの突出などがある場合、横顔や見た目に影響を及ぼす場合があります。
成長期のお子さんの場合、成長とともに症状が進行する可能性があるため、できるだけ早い対応が望まれます。
反対咬合の治療方法と装置
反対咬合の治療方法は、年齢や症状の程度、原因によって異なります。主な治療方法と装置は以下の通りです。
反対咬合の治療開始の時期
反対咬合は、できるだけ早期に治療を開始することが重要です。
3~6歳(乳歯列期)
この時期から治療を始めると、顎の成長をコントロールしやすく、将来の本格矯正を回避または軽減できることがあります。
6~12歳(混合歯列期)
骨格の成長をある程度利用できるため、治療効果が高く、顔貌の改善も期待できます。開始年齢が低ければ、永久歯の抜歯を避けられる可能性が高くなります。
中高生~成人
成長がほぼ終了しているため、歯の移動による矯正が中心になります。重症度に応じて、永久歯の抜歯が必要になる可能性が高くなります。永久歯の抜歯でも治療が困難な場合、外科矯正が必要になる場合もあります。
反対咬合は、成長とともに悪化しやすく、放置すると多くの問題を引き起こします。早期発見・早期治療が将来の健康的な噛み合わせや美しい顔立ちにつながります。当院では、お子さまから大人の方まで、症状に合わせた最適な治療プランをご提案しています。気になる症状がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
症例


開始年齢 | 43歳 |
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主訴 | 下顎が出ている、笑顔 |
診断 | 上顎劣成長傾向を伴う反対咬合症例 |
抜歯 | 非抜歯 |
装置 | インビザライン |
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期間&回数 | 2年11か月&19回 |
費用 | 880,000円 |
リスク | 歯肉退縮、歯根吸収 |