はじめに
「目立たない装置がいい」、「治療期間を短くしたい」、「通院の回数を減らしたい」そのような患者様のご要望に応える、最新の舌側矯正装置として注目されているのが、 ブラーバ(BRAVA) です。
表側のワイヤー矯正やマウスピース型矯正(アライナー)と異なり、一本一本の歯を独立して動かす というインディペンデント・ムーバーズ・テクノロジーという新しい発想に基づいたメカニクスを取り入れています。装置はAIを用いたバイオメカニクス設計で、舌側から効率よく歯を移動します。
BRAVAの基本構造と歯の動き方
BRAVAは、歯肉の内側に置かれるアンカレッジベース(剛性の高い土台)と、各歯へ伸びる形状記憶合金(NiTi)のアームで構成されます。ワイヤーで全体を同時に引っ張るのではなく、1本1本の歯ごとに“その歯専用”の力と軌道をあらかじめプログラムしておき、1歯づつ同時にゴールへ向かわせるのが特徴です。ARCH矯正歯科Orthodontic Practice US
- 見えにくい:ブラーバの装置はすべて舌側(裏側)。正面から見てほとんどわかりません。フュージョン矯正歯科
- 独立移動:柔軟なNiTiアームが各歯に専用の力をかけ、隣の歯の動きに左右されにくい設計。反作用はベース側で吸収・分散されるため、不要な“往復運動(ラウンドトリップ)”を抑えることが狙いです。Knoxville OrthodonticsOrthodontic Practice US
- AI設計:最初にデジタルスキャンをおこない3Dデータ化、CT等のレントゲンや各種画像を組み合わせ歯根形態・年齢・骨格傾向などを加味して力とモーメントを事前に計算します。ケースによっては、1つの装置に最終位置までの動きが織り込まれます。Orthodontic Practice US

従来の舌側矯正との違い

舌側矯正は1970年代に、日本(藤田紘一郎先生)と米国で始まった歴史ある治療方法です。
従来の舌側矯正装置は表側の装置と同様に、1本のワイヤーで全体を並べる考え方で、技術・快適性・清掃性に課題が残ることもありました。BRAVAは「ワイヤーを使わず、一本ずつの独立移動」を前提に、舌側×AI設計×NiTiアームで現代的に再設計された点が大きな違いです。PMCOrthodontic Products
ブラーバのメリット

- 審美性:最大のメリットと考えられますが、装置が裏側に固定されるため、ほぼ見えません。マウスピース矯正よりも目立ちません。矯正治療中であることを気付かれたくない方に最適です。フュージョン矯正歯科
- 通院回数の減少:通院のたびにワイヤーを交換する仕組みではないため、より少ない通院回数で治療が進むように設計されています(症例により異なりますが、従来よりも少ない通院回数で治療が終了するケースが大半です。海外ですが、最少4回の来院で治療を完了したケースの紹介もあります)。ローズマンデンタルビジネスワイヤ
- 治療期間の短縮:1本づつ独自にかつ同時に歯を移動するため、治療期間の短縮が期待できます(症例によります)。フュージョン矯正歯科
- フロスが出来る:連続したワイヤーがないため、フロスが通しやすいメリットがあります。ローズマンデンタル
ブラーバのデメリット
- 発音・違和感:舌側の装置全体に当てはまりますが、装着から1か月間は発音しにくい、違和感があると感じる方が多いです。ブラーバの一番のデメリットだと考えられますが、沢山お話をして慣れていけば、問題なくなることが殆どです。
- 清掃性:フロスは通しやすいですが、他の装置にはないアンカレッジベースや複雑なアームがあるため歯磨きがしにくい面もあります。ジェットウオッシャーなど購入いただき、丁寧に磨いていただく必要があります。ローズマンデンタル
- 装置の管理:固定式の装置であるため、自分で着脱することは出来ません。装置が壊れてしまった場合、調整・修理は医療側で行います。ローズマンデンタル
- 仕上げにマウスピースを使うことがある:ブラーバは大きな移動は得意ですが、細かい移動が苦手なため、ケースによっては最後の仕上げに数枚のマウスピースを使用する場合があります。
治療の流れ(当院の例)
- 初診相談・検査:問診、口腔内スキャン、X線撮影、写真撮影(必要に応じて)
- 分析・治療計画立案・ブラーバ設計:検査データを分析・診断し治療方法、抜歯の有無を決定します。同時にブラーバのデジタルシミュレーションをおこない治療のゴールから逆算し、各歯の力と軌道をプランニングを行います。(AIを活用)Orthodontic Practice US
- 診断:治療計画を患者様にご説明し、治療を進めるか判断を仰ぎます
- ブラーバ装置製作:治療開始に同意された場合、患者様にあわせてオーダーメイドのBRAVAを作製
- 装置装着:舌側歯面にへ装置を。表からはほぼ見えません。フュージョン矯正歯科
- 移動経過の観察:慣れてきましたら治療計画通りに歯が移動しているか、装置の脱離やワイヤーの破折がないか、口腔内清掃状態に問題が無いかなどを確認するため、1~2か月に一度ご来院いただきます。ローズマンデンタル
- 必要に応じて微調整や補助的な装置の使用をお願いすることがあります。
- 仕上げ:最終の微調整がブラーバのみでは難しい場合、最後の仕上げとしてブラーバ除去後にマウスペース矯正を追加する場合があります
- 保定:歯並びが整いましたら、後戻りを防ぐため保定装置を約2年間使用していただきます。
お手入れと生活のコツ
- 歯ブラシ:ヘッド小さめ+ワンタフトで装置まわりを丁寧に磨いてください。
- フロス:ワイヤーが通らない構造のため通しやすいとされます。ローズマンデンタル
- ジェットウオッシャー:ジェットウオッシャーを購入いただき、晩御飯の後でアームやアンカレッジベース部分もきれいにしましょう。
- 食事:装置に負担がかかる硬い・粘着性の高い食品は出来る限り避けてください。
- 発音:1か月〜2か月で自然に慣れることが多いですが、営業職の方や語学の先生など繊細な発音が必要な患者様にはしばらく影響が出てしまう可能性があります。
よくある質問(Q&A)
Q1. 本当に目立ちませんか?
A. 装置は舌側に固定され、正面からはほとんど見えません。発音に慣れた後は、会話中も気づかれにくいのが長所です。フュージョン矯正歯科
Q2. 通院はどのくらいの頻度ですか?
A. ケースにより差はありますが、慣れてきましたら1か月~2か月に一度の通院になります。海外では4回程度の来院で完了した症例も報告されています。ローズマンデンタルビジネスワイヤ
Q3. どのくらいの期間で終わりますか?
A. 症例により大きく異なります。治療期間の短縮が期待できるとされていますが、個人差もあり成果う名予測も難しいため、診断時に予想治療期間をお伝えします。フュージョン矯正歯科
Q4. 難しいケースでも治療可能ですか?
A. BRAVAは軽症から比較的難易度の高い症例まで対応可能とされています。マウスピースでは治しにくいケースでも、ブラーバなら対応可能なケースもあります。従来の装置と同様、骨格的ズレが大きい場合や埋まっている歯があるなどの症例では、適用が難しいケースもあります。ローズマンデンタル
まとめ
- 最新の舌側矯正装置であるブラーバは、最も外から見えにくい矯正装置の1つです。ARCH矯正歯科
- AIおよびバイオメカニクスを用いてデジタルで設計され、ワイヤー交換をメインとした治療ではないため、通院回数の最小化や治療期間の短縮が期待されるケースもあります。Orthodontic Practice USローズマンデンタルフュージョン矯正歯科
- 慣れるまでの数か月間は発音し難い、賢く動かす”**新世代の裏側矯正として選択肢を拡げます。
アクア矯正歯科クリニックでは、初診相談で口腔内スキャンを用いた可視化説明を行い、BRAVA・ワイヤー・アライナーの三者比較で最適解をご提案します。気になる方はお気軽にご相談ください。
参考・出典
- BRAVAの構造・独立移動・AI設計:Orthodontic Practice US(Brava Independent Mover System 概説)と提携医院の解説ページ。Orthodontic Practice USARCH矯正歯科
- 舌側で見えにくい/期間・効率に関する記述:Fusion Orthodontics, Roseman Dental。フュージョン矯正歯科ローズマンデンタル
- 反作用の吸収(ベース構造):Knoxville Orthodontics。Knoxville Orthodontics
- AIと若年層向け発表、少ない来院の記載:Business Wire 公式プレスリリース。ビジネスワイヤ
- 舌側矯正の歴史(背景):PMC(Review)。PMC
