顎を広げる歯科矯正治療について
歯並びを整えるための矯正治療の中でも、「顎を広げる治療」は非常に注目されています。この治療法は、主に歯が正しい位置に並ぶためのスペースを作ることを目的としており、特に子どもから成人まで幅広い年齢層に適用されます。本記事では、顎を広げる矯正治療の具体的な方法、適用ケース、メリットとデメリット、治療期間、そして費用について詳しく解説します。
1. 顎を広げる矯正治療とは?
顎を広げる矯正治療は、歯が正しく並ぶためのスペースを確保するために、上顎または下顎の骨を物理的に広げる方法です。この治療は、歯の重なりや噛み合わせの不具合を解消するために行われます。
主な目的
- 歯列のスペースを獲得する
- 噛み合わせの改善
- 顔のバランスを整える
適用される主な問題
- 歯の重なり(叢生)
- 上顎の狭さによる奥歯の反対咬合(交叉咬合)
- 歯列不正が原因の顎関節症
- 睡眠時無呼吸症候群の改善
- 鼻腔の空間不足による呼吸の改善
顎を広げる治療は、見た目だけでなく健康にも影響を与えるため、多くの歯科医師が推奨しています。
2. 治療方法の種類
顎を広げる治療にはいくつかの方法があります。それぞれの方法は、患者の年齢や症状に応じて選択されます。
● 急速拡大装置(RPE: Rapid Palatal Expander)
- 対象: 主に成長期の子ども
- 方法: 上顎の真ん中の骨を分離し、装置を使用して数週間から数ヶ月かけて広げます。
- 特徴:
- 毎日少しずつネジを回して拡大
- 短期間で大きな効果が現れる
- 呼吸機能の改善が期待される
● 緩徐拡大装置(クォードヘリックス、バイへリックス)
- 対象: 子どもから成人まで
- 方法: 口蓋側に固定したワイヤーを使用し、急速拡大装置よりもゆっくりとしたペースで顎を広げます。
- 特徴:
- 自然な骨の成長を促す
- 負担が少ない
- 長期間使用することで安定した結果を得られる
● 外科的矯正(Surgically Assisted Rapid Palatal Expansion: SARPE)
- 対象: 成長が完了した成人で骨格の問題が大きいケース
- 方法: 手術を併用して骨を広げ、矯正装置でさらに調整します。
- 特徴:
- 重度の骨格的問題がある大人の患者にも対応可能
- 外科手術を伴うため、治療期間が長くなる場合も
- 高度な技術が求められる
● 拡大床(expansion plate)
- 対象: 軽度から中度のケース
- 方法: 取り外し可能な装置を使って少しずつ顎を広げる。
- 特徴:
- 取り外し可能で清掃が容易
- 矯正の自由度が高い
- 痛みが出にくくトラブルが少ない
3. 顎を広げる治療のメリットとデメリット
● メリット
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歯列の改善:
- 永久歯を抜歯する可能性が低くなる。
- 上下顎の正しい幅のバランスを得ることが出来る。
- 正しい位置に歯が並ぶことで、歯磨きがしやすくなり虫歯や歯周病のリスクが減る。
-
顔のバランスの向上:
- 顎を広げることにより、顔全体のバランスが良くなるケースがあります。
- 鼻や口元の形状が改善されるケースがあります。
- 顎の狭さが原因の顔の左右非対称が改善されるケースがあります。
-
健康面の効果:
- 正しい噛み合わせにより、消化器官への負担が軽減。
- 睡眠時無呼吸症候群の改善が期待される場合も。
- 呼吸が楽になることで運動能力や集中力が向上。
● デメリット
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痛みや不快感:
- 装置の装着初期には違和感や痛みを伴うことがあります。
- ネジを回す際に圧力を感じることがあります。
-
時間と費用:
- ゆっくり拡大する場合、治療期間が長引く場合があります。
- 拡大の装置代が別途必要になる可能性があります。
- 特に外科手術を伴う場合はさらにコストがかかる。
-
リスク:
- 特に外科手術を伴う場合は、感染症や骨の回復不良のリスクが考えられます。
- 固定式の装置が壊れた場合、口腔内を傷つける可能性があるため注意が必要です。
4. 治療期間と費用
● 治療期間
- 急速拡大装置: 数週間から数ヶ月
- 緩徐拡大装置: 6ヶ月以上
- 外科的矯正: 1年以上(術後の回復期間を含む)
- 拡大床: 6ヶ月から1.5年
治療期間は患者の状態や目標に応じて異なります。歯科医師との相談を通じて具体的な計画を立てることが重要です。
● 費用
- 拡大床、緩徐拡大装置、急速拡大装置は子供の矯正治療の一環として行われることが多く: 約20万–50万円
- 外科的矯正は基本的に成人が対象で保険が効く可能性があります: 50万–100万円以上
費用は地域やクリニックによって異なります。事前に歯科医師と相談し、見積もりを確認することをお勧めします。
5. 顎を広げる治療の適応年齢
顎の広げやすさは年齢によって異なります。
-
小児:
- 成長期のため、骨が柔らかく治療効果が出やすい。
- 特に8–12歳が最適。
- 12才以降は成長とともに成人に近づきます。
- この時期の治療は比較的簡単で、効果も持続しやすい。
-
成人:
- 骨の成長が完了しているため、小児と比べて効果が出にくい。
- 重度の場合外科の併用が必要となり、時間とコストがかかりやすい。
6. 治療中の生活の注意点
顎を広げる治療中は、以下の点に注意することで治療効果を最大限に引き出せます。
● 口腔ケア
- 装置周辺を丁寧にブラッシング。
- デンタルフロスや歯間ブラシの活用。
- マウスウォッシュで細菌の繁殖を抑える。
● 食事制限
- 固いものや粘着性のある食べ物を避ける。
- 柔らかく栄養価の高い食事を摂る。
- 甘い飲み物やスナックを控える。
● 定期的な通院
- 歯科医師の指示に従い、定期的に通院して装置の調整を受ける。
- 異常を感じたら早めに相談する。
● 心のケア
- 装置の違和感や見た目の変化にストレスを感じることがあるため、ポジティブな気持ちを持つことが重要。
- 家族や友人と共有し、サポートを受ける。
7. まとめ
顎を広げる矯正治療は、歯列不正の改善や顔のバランス向上に効果的な手法です。患者さんの年齢や症状に応じた治療方法が選ばれるため、まずは専門の歯科医師に相談し、自分に最適な治療計画を立てることが大切です。
治療には一定の時間と費用が必要ですが、その結果得られる美しい笑顔と健康的な噛み合わせは、長期的な価値を持つものです。また、治療を受けることで自信を持ち、より充実した生活を送ることが期待できます。
この記事が、顎を広げる矯正治療についての理解を深める一助となれば幸いです。さらに詳しい情報が必要な場合は、ぜひお近くの矯正歯科に相談してみてください。健康的で美しい歯列は、あなたの生活をより豊かにする第一歩です。
アクア矯正歯科クリニックでは、お子さん、成人の患者様に顎を広げる治療も積極的に行っておりますのでまずはお気軽に無料相談にお越しください。