マウスピース型矯正装置とは?
既にご存じの方も多いと思いますが、マウスピース型の矯正装置とはインビザラインを代表とした透明で取り外しのできる装置です。
基本的にお食事と歯磨きの時以外装着して頂き、1日20時間以上の使用が必要になります。
当院では、マウスピース型矯正装置の1種、インビザラインで治療する患者さんが約4割を占めてきています。
矯正というと、マルチブラケット装置による治療をイメージする方が多いと思いますが、最近では「目立たない」、「痛みが少ない」、「食べ物の制限がない」、「ブラッシングがし易い」などメリットが多いマウスピース型矯正装置も人気になっています。
メリット
①目立ちにくい
金属の部分が多いマルチブラケット装置にくらべて、マウスピース型の装置は透明なプラスティックやポリウレタン製のため目立ちにくくなります。この目立ちにくいことが、マウスピース型矯正装置の最大のメリットだと思います。
②通院の間隔が長くとれる
従来の矯正治療装置は矯正力の持続時間が短いため月に1回程度の通院が必要でした。マウスピース型矯正装置は大体1週間ごとに装置を自分で交換するため、2~3月に1回程度の通院で良くなることも忙しい患者様にとってはメリットになると思います。
③痛みが少ない
マウスピース型の矯正装置は1枚で0.25㎜づつ移動するように設計されており、材質も改良が進んでいるため柔軟性が高いものが多く、強い痛みが出にくい設計になっています。またマルチブラケット装置と比べて
④金属アレルギーに対応できる
材料に金属が含まれないため、金属アレルギーの患者様にも安心して使用していただけます。
マウスピース型の矯正装置は現在多くの種類があり、材質はプラスティックやポリウレタンなど様々です。アレルギーが出にくい材質が使われていますが、稀にアレルギーを生じることもあります。
⑤歯磨きとお食事が楽
アタッチメントと呼ばれる歯と同じ色のプラスティック部分は外せませんが、マウスピースを外してしまえば歯磨きはかなり楽にできます。フロスも問題なく使用できます。
お食事も、装置を外してしまえば硬いものでも食べられます。ガムやおもちなどのくっつきやすいものも食べられます。
デメリット
①患者様が使わなければ治らない
マウスピース型の矯正装置は取り外しができるため、患者様が装置を付けてくれないと治療が進まないどころか、元に戻ってしまうこともあります。
忙しくて使う時間がない、話しにくい、間食が多い、お昼を食べた後歯を磨けない、吐きそうになってしまうなど、使えない理由は様々です。装置が使えないと治療期間が延び、最悪追加の治療費を払っていただいてマルチブラケット装置に変更することもあります。
②不得意な動きがある
歯ぐきに埋まっている歯を埋伏歯といいますが、この歯を牽引する場合マウスピース型の装置は得意ではありません。多くの場合、マルチブラケット装置で治した方が良好な結果になります。
また捻じれている歯を治すことも得意ではないため、リカバリーとして部分的にマルチブラケット装置をつける必要が出ることがあります。
小臼歯の抜歯が必要なケースでは、奥歯が前に倒れたり途中の歯がかめなくなってしまうこともあり、この場合もマルチブラケット装置によるリカバリーが必要になります。
③治療期間が長くなりやすい
マウスピース型の装置は多くの場合クリニック外で作られ、アメリカなど海外で作られているものもあります。
マルチブラケット装置のようにその場で調節ということが出来ず、装置を作り直す場合1~2か月程度かかることもあり、治療期間が長くなりがちです。また金属であるワイヤーと比べて、材質的に歯にかかる力が弱いためどうしても移動に時間がかかります。また装置の使用時間が短いと、新しい装置に交換するまでの日数が多くなり治療期間が長くなります。
④安価なマウスピース型の矯正装置は前歯しか治らない
インビザライン以外にも、マウスピース型の矯正装置は沢山の種類があります。そのなかには、非常に治療費が安価であることを謳っているものがあります。会社によって基準が異なりますが、安価なものは全体の治療には対応していないものが殆どです。治療期間が短いこともメリットとして挙げられていますが、前歯を少ししか動かさないのでマウスピースの枚数が少なく、期間が短いのも当然です。
前歯のちょっとの不揃いを治したいとか、すき間が気になるなどの軽症の患者様には良いと思います。前歯を下げたいとか、横顔を治したいとか奥歯の治療が必要な患者様、歯を抜いて治療する必要がある患者様には殆どの場合、対応できません。1枚当たりいくらという計算方式が多いため、枚数が増えてしまえばそれだけ治療費が高くなることも要注意です。
まとめ
マウスピース型の矯正装置は目立たない、食事が楽、痛みが少ないなどのメリットがありますが、患者様の協力が必要、治療期間が長くなりやすい、リカバリーが必要になることがあるため対応出来るクリニックを選ぶ必要があるなどのデメリットもあることを理解していただきたいと思います。